5. 公共料金の見直し、公共施設の有料化

私が就任して取り組んだ財政健全化策の中には公共料金の見直し、つまり値上げがあります。公共料金の値上げというと決してイメージの良いものではありませんが、「受益者負担」「公平性」の観点から時には値上げも必要であることをこのページでお伝えしたいと思います。

国民健康保険料を7年上げなかった千葉市

まず国民健康保険料ですが、私が市長に就任するまで7年間、千葉市は保険料を値上げしてきませんでした。
「7年間値上げをしていない」=「安くていいね」と思う方もいるかもしれませんが、国民健康保険は加入者の保険料で加入者の医療費を支払うわけですから、値上げをしていないということは保険料収入が足りなくなるということです。

高齢化や医療の高度化に伴って国民健康保険の医療費支出も年々大幅に増加しており、収支均衡を図るには当然保険料を値上げしていかなくては制度が成り立ちません。実際、他市は2年に1度、毎年という頻度で保険料を値上げしています。
値上げをすると当然加入者である市民から反発があります。千葉市はそれを恐れて保険料を据え置いてきたことで、千葉市の国民健康保険事業の会計は大幅な赤字を毎年計上し、政令市ワーストの累積赤字を抱えています。

【国民健康保険料の料金推移】

区分 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
千葉市 75,543 74,371 74,142 75,627 76,798 78,061 77,230 77,295
政令都市平均 75,571 74,804 76,547 79,401 81,416 83,505 85,298 83,744

国民健康保険料の料金推移のグラフ

※政令市平均保険料の21年度から22年度の減要因
→平成20年9月のリーマンショックに伴う景気の悪化によるもの(22年度保険料は21年中の所得で算定するため)

【国民健康保険料の累積赤字(繰上げ充用額)】

区分 22年度決算額(A) 22年度繰り上げ充用額(B) 比率(B)/(A)
千葉 90,477百万円 11,952百万円 13.2%
横浜 326,604百万円 20,393百万円 6.2%
京都 143,539百万円 6,423百万円 4.5%
大阪 339,285百万円 25,198百万円 7.4%
98,005百万円 3,095百万円 3.2%
岡山 66,913百万円 1,148百万円 1.7%
福岡 134,063百万円 463百万円 0.3%

この赤字を支払うのは当然保険加入者ですから、必要な保険料を値上げしないということは将来にツケを先送りしているということです。将来の人たちは自分たちが本来支払うべき金額以上に保険料を支払わなければならなくなることを考えると、こうした先送りは決して行うべきではありません。
担当部署は当然このままでは制度が成り立たないことは分かっているわけですが、歴代市長が選挙を意識したのか、千葉市はこうした必要な料金見直しからことごとく逃げ続けており、結果、各方面に渡って負担の先送り現象が起きています。

私は平成22年度から国民健康保険料の値上げを実施しましたが、その際には低所得者への配慮を行うため、所得に応じて7割・5割・2割の減免(国の補助あり)をしたほか、市単独でも1割減免を実施し、低所得者はむしろ値下げとする見直しを行いました。
今後も定期的に保険料の見直しは避けられませんが、少しでも値上げ額を抑えるために、徴収率の向上やジェネリック医薬品の普及などによる保険料の抑制などに努めていきます。

公共施設の料金見直し

次に取り組んだ項目は公共施設の料金見直しです。
例えば千葉市はコミュニティセンターなどの使用料が今まで無料でした。国民健康保険料と同様、「無料」=「市民活動を応援する良い自治体」と思われるかもしれませんが、無料ということは施設の維持費を100%税金で支出しているということになります。

公共施設を使用する人は増えて欲しいものの、特定の利用者のために費用の全てを税金から支出するというのは決して好ましいことではありません。ちなみに、他政令市ではコミュニティセンターのような施設は殆どが有料ですし、公民館ですら多くが有料となっています。
こうした背景に、公共施設の料金を定める際のルールが千葉市において明確に定められていなかった点があります。

そのため、私たちは公共施設の使用料について公益性などの観点から分類し、その分類に基づいて利用者に一定の負担をして頂くルールを定めることとしました。
具体的には公共施設の年間維持費をその施設の年間利用者数で割り戻すことで、本来利用者が負担すべき料金を算出します。しかし、これでは維持費の全てを利用者に負担してもらうことになってしまいますので、

 ・コミュニティセンターの会議室やホールのように、市民活動のために使用する施設については市民活動を支援する観点から、そのうち2割のみ利用者負担とし、残り8割を税金で支出する
 ・スポーツ施設は市民の健康増進を図る観点から、5割を利用者負担とし、残り5割を税金で支出する

などの考え方に基づき、料金を設定しました。
なお、このルールに当てはめることで料金が大幅に上がる場合や無料が有料になる場合は激変緩和として1.5倍以内に収めることとし、この見直し後の料金でも他政令市や県内他市と比べても殆どが安価となっています。
詳細は公共施設の料金収入をご覧下さい。

この見直しは平成23年度から適用となり、毎年2億円の利用料増加となります。
1回あたり数百円程度の値上げでも積み上げればこれだけの金額になります。10年前に料金を適正化していれば20億円の収入となり、その分千葉市の借金は20億円少なくなっていたことになります。
もちろん、利用者にとって負担増となることは事実ですから、利用料収入を施設の維持管理費にあてることで、施設の長寿命化などに取り組んでいきます。

長年無料だった市営霊園

さらに市営霊園の墓地有料化を平成24年度から実施します。
千葉市には市営霊園として桜木霊園と平和公園の2ヶ所がありますが、いずれも年間管理費は無料となっています。市営であっても墓地管理費が無料というのは他市ではあまり事例が無く、墓地を所有している人のために全ての費用(1億円以上)を税金から長年支出していたことになります。

(他政令市、県内他市の状況)

都市名 管理料(円)
相模原市 2.5u墓地=4,500円、4.5u墓地=6,500円
堺市 1,500円/u
京都市 1,100円/u
神戸市 3u以下 3,900円、1u毎に1,300円加算
札幌市 28,500円/uを使用許可を受けた時に納付
さいたま市 屋内 6,600円/1区画、屋外 2,850円/1区画 芝・普通墓地 1,250円/u
横浜市 5,000円/1墳墓
仙台市 芝生 5,760円/基、一般 900円/u
北九州市 3,340円/年を使用許可を受けた時に20年間分を一括納付
新潟市 200円/u 〜 810円/u
静岡市 3,470円/1墓所 〜 40,630円/1墓所
大阪市 900円/1霊地 〜 13,500円/1霊地
川崎市 一般墓所 700円/u、その他 4,100円〜7,200円/1個所
名古屋市 使用面積により、1,700円 〜 5,600円
福岡市 普通 800円/u、芝生 1,000円/u
岡山市 500円〜1,000円/u
浦安市 (市民) 5,350円/1墓所、(市外) 8,030円/1墓所
君津市 (4u) 5,250円、 (8u) 10,500円
八千代市 芝 (市民) 5,040円/1墓所、(市外) 6,040円/1区画
松戸市 5,040円/1区画
袖ヶ浦市 (市民) 4,680円/1区画、(市外) 6,200円/1区画
四街道市 芝 18,900円/1区画、普通 13,800円/1区画(3年分)
船橋市 (市民) 900円/u、(市外) 1,350円/u
木更津市 800円/u
市原市 芝 840円/u、普通420円/u
市川市 670円/u
習志野市 3,010円 〜 7,870円/1区画

墓地管理費の無料化は40年以上前から実施しており、所管部署も問題視してきたものの、これも歴代市長が逃げ続けてきた負の遺産です。
いくら好ましくない現状であったとしても墓地所有者からすれば契約時に年間管理費は無料と聞いているわけですから、有料化すれば「話が違う」と反発し、市長の政治的立場も危うくなりかねません。

しかし、墓地管理費を無料化することには別の問題もあります。
墓地管理費が無料ということは、墓地を販売してから千葉市は墓地契約者とその後一切コンタクトを取っていないため、墓地契約者が生存しているか等の基本的情報が現行化されていないという事態が発生しています。
墓地管理費が有料であれば当然毎年請求書を送付しているので請求書が届かない、支払いが確認できないなどの問題があれば、その都度契約者とコンタクトを取り、契約者が死亡等していれば墓地の承継者を確認するなど、名簿が適正に更新されます。

墓地契約者の情報が現行化されていないということは仮に無縁仏と疑われる荒れ果てた墓地があったとしても、単に所有者が手入れに来ていないだけなのか、既に死去するなどして所有者が居なくなっているかが分かりません。
墓地所有者が既に居なくなっており、承継者もいない場合はその墓地を回収し、新たな墓地として提供することで墓地の新規造成を少しでも減らすことができます。墓地造成には何億、何十億という費用を要しますので、市民の税金を大事に使うためにも、少しでも無駄のない墓地管理を行う必要があります。

そうした理由から墓地を有料化するわけですが、契約者の方々からは「今まで無料がおかしかった」「時代の流れとして仕方が無い」という声も頂いていますが、「話が違う」「支払いたくない」という不満の声をたくさん頂いています。
丁寧に事情を説明し、理解を求めていきたいと思います。

このように、公共料金・公共施設の料金見直しは、過去の市政の負の遺産の処理という側面もあります。市民に嫌われる施策ですから、私自身も決して行いたくはありません。
しかし、例え石を投げられたとしても、将来の市民のために適正な料金見直しをしていくことが政治の責任だと私は考えています。