皆さんは入札制度における問題というと談合による高落札率(予定額に対し99.5%とか)を意識されると思います。これは業者同士で話し合い値段を吊り上げるものですが、こうした談合への対策として業者が限定されている”指名競争入札”から条件に適合すればどんな業者でも参加できる”一般競争入札”への拡大、業者が応札の際に顔を合わせず談合がしにくくなる”電子入札”の拡大などが図られてきました。

そして、今入札において別の問題が起きています。
公共事業が全国的に削減されている中、少ないパイを争って業者間でダンピング競争が激しくなり、落札率が60%台など異常に低い入札が急増しています。こうした低価格入札によって工事の品質や労働条件が悪化することが考えられるため、新たに"低入札価格調査対象制度"が導入されました。これは品質を担保できるギリギリの最低価格"調査基準価格"を設定し、これより安い価格で落札した場合は、本当に品質が担保できるのか等を様々な資料を提出させてヒアリングを行うものです。
業者にとっては事務負担が増えるため、低入札価格調査の対象にはなりたくない。しかし、工事は受注したい。そのため、何が何でも受注したい業者にとっては調査基準価格をギリギリ上回る価格で入札すれば、ほぼ確実に受注でき、かつ低入札調査を回避できるので一番良いわけです。
しかし、当然この調査基準価格は非公表となっています。
ところが、今年度この非公表であるはずの調査基準価格に限りなく近い金額での落札が急増しています。以前から業者に漏れているのでは?という疑惑がありましたが、私が本格的に調べていくと色々驚くべき実態が今回明らかになりました。
調査基準価格と千円の位まで全く同額という信じられないものもありますし、例えば調査基準価格:1989万円に対し1990万円と、1万円、率にして0.05%しか違わないものなど、疑わしいものはキリがありません。

時間をかけて入札調書を調べた結果、大体以下のような傾向があることが分かりました。
調査基準価格に対し、次の3つに分けてみました。
いかがでしょうか。明らかにギリギリの落札が今年度急増しているのです。
その中でも特に異常なものは、調査基準価格と全く同額の入札をなんと2社が行い抽選となるという、天文学的な確率でしかありえない入札案件です。
これらの件について私は何度も入札を担当している部署に「調査基準価格が漏れているのではないか」と指摘してきましたが、その度に市は「漏れていません」「業者が綿密な積算をした結果、ほぼ同額となったということです」と答弁してきました。
しかし、そんな説明で納得できるはずもなく、別の角度から調査を行うこととしました。それは「ギリギリ上回るものがあるのであれば、ギリギリ下回るものは無いのか?」という視点です。

調査基準価格が分からない中、少しでもその額に近づけようと綿密な積算を行い、その結果調査基準価格と全く同額となったものが3件、同額ではないがギリギリ上回る価格で入札できた件数が18件あるわけです。
であるならば、ギリギリ近づけようとした結果、基準価格をギリギリ下回ってしまった案件も同程度存在しなければおかしいはずです。
その観点から先ほどの調査を逆転させたところ、以下のようになりました。
結果は、0.05%以内で下回った案件が1件、0.2%以内で下回った案件が0件という結果でした。いかがでしょうか。
ギリギリ上回った落札は18件あるのに対し、下回った落札はたった1件しか無いのです。これはどう見ても不自然ではないでしょうか。しかし、この不自然な点を問い質しても市の答弁は「綿密な積算をした結果」という答弁でした。
さらに驚くべきことは、この疑惑の僅差落札を何度も繰り返している業者が存在します。(この業者をA社とします)
ギリギリ落札21件中、なんとA社が7件占めています。他は1回、多くて2回ですからA社の積算能力の高さは驚きです。
さらに、このA社は今年度38回入札に参加しているのですが、なんと17件もギリギリの価格で応札しているのです。そのうち10回は、他の業者が調査基準価格を下回る価格で落札してしまったため、落札には至らなかったのですが、入札参加のうち半分近くギリギリ価格というのは異常としか考えられません。
この問題は千葉市だけではなく、今後全国的に起きる新たな入札における問題です。調査研究を続けていくとともに、皆さまからのご意見・情報もお待ちしております。 |